お家の窓にはいろいろな役割があります。
風をとりこんで換気や通風をとったり、
光をとりこんでお家の中を明るくしたり暖めたり、
いわゆる「通風採光」というやつですね。
あとりえがもう一つの大切にしているのが、
「景色を切り取る」という役割です。
お家を計画する敷地の真ん中に立って周りを見渡すと、
すてきな景色が見える方角と、そうでもない方角があります。
周りが全てすてきな景色ばっかりだったら良いのですが、
なかなかそうはいきません。
そんなとき、「すてきな景色だけ」を切り取る窓を作ります。
しかも、可能であれば、
贅沢にFIX窓(=はめごろし窓のことです)にします。
「カフェメモリーズ」の窓。

建物の奥のちょっと暗い中にポツンと見える窓なのですが、
外のキラキラした雑木林の景色が目に入ると
思わず近づいてみたくなります。
(あ、手前にいるのは、とりやまの母と息子で、
とりやま本人ではありません)
「イロイロのイエ」の窓。

窓の中には畑と林しか見えませんが、
窓に切り取られた景色の外側には別の建物が建っています。
建物がちょうど見えないように景色を切り取っているのです。

窓は大きく作れば作るほどいいものだとは考えていません。
効果的にすてきな景色だけを切り取るためには、
窓を大きく作りすぎないというのは
けっこう大切なポイントなのです。
窓は壁よりも断熱性能が低いので、窓が大きいと、
建物全体の断熱性能も低くなります。
また、壁が多い方が建物は丈夫になり、
室内に絵を飾ったり物を置くスペースを確保できますので、
窓を大きくしないことには、いいことがたくさんあります。
もちろん、必要な通風や採光は、
切り取り用以外の他の窓たちとも協力してきちんと確保します。
見たくない方角にも、通風採光用に窓が必要な場合は、
目線より高い位置に作るなどの工夫をします。
これは田園越しの学園都市を見渡す「晴耕雨読の家」の窓です。

キッチンに立った時に、
この絵のような景色を正面に見ることができます。

両側には通風用の窓が
きちんと確保されているのがわかるでしょうか。
今回ご紹介した窓たちは、
窓枠を壁と同じ白色に塗装することで存在感を消し、
景色だけが切り取られてくっきり見えるようにしています。
逆に、窓枠をしっかりと木の色を出した枠にすると、
景色が額縁に入っているように見えるフレーム効果もあります。
今回載せた以外にもたくさんの素敵な窓があるので、
2月28日(火)〜3月4日(日)開催の
「つくば・おとなりの建築家展2」で紹介しようと思っています。
つくば美術館におこしの際は、
あとりえコーナーにぜひぜひ足をお運びくださいませ〜。
とりやまあきこ